映画コメント 「ジョンＱ・最後の決断」

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　見てみたら大変いい映画でしたので、映画に対するコメントを書いてサントラを待ち構えていたら、発売されていないようです。あら残念。でも折角書いたのがもったいないので、ここにアップすることにしました。

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ジョンＱ −最後の決断− JOHN Q (2002)
音楽：アーロン・ジグマン
監督：ニック・カサベテス
出演：デンゼル・ワシントン、ロバート・デュバル、ジェームズ・ウッズ、アン・ヘッシュ、レイ・リオッタ、エディ・グリフィン、キンバリー・エリス、ショーン・ハトシー
ＣＤ出てません／／／／／\
　「狼たちの午後」や「マッド・シティ」のような、立てこもった犯人が人質たちと仲良くなってしまうという監禁モノのバリエーション映画。とは言っても物語の焦点はそこにはなく、息子を救おうと必死のあがきを続ける主人公の父性愛の物語です。映画としての組み立てが実に上手で、主人公家族の財政危機と家族愛を２０分ぐらいで手際よく処理し、息子の病気から立てこもりまでテンポよく話をつなげていきます。その間、一貫して「息子の危機を救う父親」の視点からブレないため、主人公にどっぷり感情移入させられた観客は、後半はもうジョンＱ応援団。緊張のつづくドラマも、人質たちとのユーモラスな掛け合いで緩急をつけ、移植する心臓を調達するために（ネタバレのため伏字＞）「自殺して自分の心臓を提供しようとする」ジョンＱの無茶な行動のクライマックスにつなげていきます。

　配役は、息子に最後の別れを告げる微妙な表情がお客の涙をむしり取らずにいられないデンゼル・ワシントン。脇役に、この手の映画につき物の「ネゴシエイター（交渉人）」役の刑事にロバート・デュバル。ハゲたアタマと年輪のような顔のシワが実にいい按配の枯れっぷりで、大して何もしない役なのに存在感があります。この人の映画人生の後半生はまず安泰でしょう。強行突入を主張する、これまたありがちな警察本部長に、もうこんな役しか回ってこなくなったレイ・リオッタ。お金持ち大好きな俗物だが心臓外科の名医に、これぞぴったりのジェームズ・ウッズ。最後に男を見せる儲け役。

　味もそっけもないドッカンバリバリな映画が多くなったと言えど、サスペンス映画の枠組みの中できちんとお客を泣かせ、医療保険制度の批判というメッセージもちゃんと仕込んであるハリウッド映画、やはり侮りがたし。ジョン・カサベテスの息子、ニック・カサベテス、親父譲りかシブ路線です。とにかく、重病の子供が自分の娘だったらどうしようと、もう泣けて泣けて。ウチの奥さんは後半はずっと泣いておりました。

　ちなみに「ジョンＱ」の"Ｑ"は、ジョン・クイシー・アーチボルトというフルネームのミドルネームの略。ファーストネームが「モロー」だったら「もろＱ」、オバースタインだったら「オバＱ」、「チカイノマ」だったら「ちかいのまＱ」（＜親父限定ギャグ）。・・・そんな名前のヤツはおらんて。

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ＢＡＣＫ